料理好きの私は、鳴海チャイナの洋陶器を一そろいとヘンケルの

大きな牛刀だけを持って、カナダにやってきたのだった。

 実は日本にはプロが使うほどの高価な刺身包丁から、中華包丁ま

で20本はもっていた。そのうちから、数丁持って出てもよかったのに、

そうはしなかった。

 日本にあるものは、日本での生活の匂いのあるものは、なにも持

って出たくなかったのである。

真新しいヘンケルの高価な包丁を一丁買って、カナダにやってきた

のだった。

 さて、話はここから、実は箸一本からそろえなければならなかった

私は包丁はたった一本。実はこの高価な包丁の背を、ハンマーで叩

きながら大きな冷凍のマグロをさばいていたのである。

 そして、一年半。ハンマーに叩かれ続けた背はくぼみ、取っ手はガ

タガタになってしまったのは、

ヘンケルの製品の品質のせいでないことは、明らかだった。

 私はモールにあるヘンケルのお店にでかけ、たどたどしい英語で、

取っ手のくぎを買いたいのだがといったのだった。すると女主人が、

つらつらと包丁をながめ、いずこかへ電話を掛け始めた。

受話器を置いた主人はおもむろに私にこう言った。この包丁は14ド

ルで新しいものと交換することが出来ると・・。

 思いもかけない話に、私は恐る恐る言った。実は、日本で買ったも

のなんです・・。すると彼女、

That's OK.。この包丁がどの国で売られようと関係無いと。どんな風

に使われようと関係無いと。

包丁の表には通し番号が彫られていて、この包丁のヒストリーがわ

かり、保証されているのだからと。

 わたしは、なんだか、うれしかった。新しい包丁をもらえるのもうれ

しかったが、私の痛めた包丁もきっと溶かされ再生されるに違いな

いとも思った。

そして、まだまだ冷凍のマグロをさばきつづけるだろう、私の未来を思った。


柳谷Chieko拝
    
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LETTER
ARTSTUDIO YOKOHAMA B&BCLIFFROSE QUESTS MYHOUSEINJAPAN

ヘンケルの牛刀
1、旅立ちの日
2、蜂鳥
3、クリフローズ通信をお届けします
4、ヘンケルの牛刀
5、新春笑い話をお届けしましょう
6、出版のごあいさつ
7、I got landed immigrant status
8、小さな総括
9、裏の庭でつくしを見つけました
10、April 4 '00: イリーナの話
11、July '00: Vancouver便り
12、Oct. 29 '00: 酔歌祭のこと
13、Nov. 26 '00: 藤村の根無し草四つの巻の序
14、Sep.16 '00: I got new boyfriend.
15、Mar. 15 '01: 素晴らしい春の始まり
16、Oct. 11 '01: 酔歌祭
17、アドレス変更のお願い
18、Dec. 22 '01: 酔歌祭の御礼
19、Jan. '02: A Happy New Year to Everybody.
20、Mar. 20 '02: 息子たちへ
21、今旅立とうとしている母へ
22、「すばるのかなた」ご出版に寄せて
23、柳谷千恵子油彩小品展のお知らせ
24、柳谷千恵子油彩小品展の御礼
25、Cliffrose Letter Jan. 1.2003 :あけましておめでとうございます
26 Cliffrose Letter March 13 2003 停電 in Canada
27 Cliffrose Letter Nov.19.'03 息子の来加
28、Cliffrose Letter Dec.28 '03 眠れない夜は・・・。
29Cliffrose Letter Oct.6.2004 食い物の話
30..Cliffrose Letter Oct.25 2004  個展のご案内
31.Cliffrose Letter Dec.30. 2004 昨日はどこにもありません。
32.独り女の独り言
33.死生観
34.数々の出会い
35.Feel Guilty
36.旅立つ親友太田則子へ送る言葉
37.映画の話
38.狭い地球
39.英語でのコミュニケーション 将城
40.モーツアルトとサリエリとChieko
41.商売と信頼関係 将城
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44.Mr.Revenko& Mr.Ohyama  

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63.CliffroseLetter Vol.54 5.Oct.2008 フランス生まれのトマトその後
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67.CliffroseLetterVol.58 往く年来る年
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69.Cliffrose Letter Vol.61 チビた鉛筆と蕗の薹 
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